この記事のポイント
- 光回線を乗り換えるときにありがちだった「固定電話番号が変わるリスク」が、ほぼ解消
- 固定電話番号を変えずに、月額料金の安い光回線や、速度が速い光回線へ気軽にお引越し
- 一部番号を持ち運べないケースもあるので注意!
目次
2025年1月14日から始まった「双方向番号ポータビリティ」によって、今まで諦めていた光回線や電話サービスの見直しが、グッとやりやすくなりました。
一番大きなポイントは、「携帯電話のように、固定電話の番号もそのままで自由に乗り換えられる」というところ。
通信業界も「いよいよ来たか!」とざわついている、この「双方向番号ポータビリティ」の詳細、そして乗り換えを考えるときのメリット・注意点などを、なるべくやさしくご紹介します。
これまで起こっていた、光回線の固定電話乗り換え問題
ケータイが当たり前の時代とはいえ、約5,500万回線以上もの固定電話が今でも使われている日本。
ケータイなら「MNP(番号ポータビリティ)」という仕組みによって、会社を変えても番号を変えずに使い続けることができますよね。
ところが固定電話の場合、これまでは光回線を乗り換えると「番号が強制的に変わってしまう可能性がある」という問題があったんです。
よくある例:
「今使っている光回線が高いから、ほかに乗り換えたい…」
「スマホとのセット割より、もっと安いプランが他にあるかも…」
と、いざ他社に申し込んだら
「お使いの固定電話番号は変わってしまいますが、よろしいですか?」
と言われ、面倒で諦めてしまった…
また、自宅だけでなく個人事業主や中小企業にとっては、名刺・ホームページ・看板などに載せている番号が変わるのは死活問題ですよね。
こうした理由から、やむなく「高いと思いつつ、同じ回線を使い続ける…」というケースが多かったのです。
補足:
実際には「NTT東日本/西日本が発行する(ひかり電話専用以外の)0AB-J番号」であれば、他の事業者向けに番号ポータビリティ可能(片方向番号ポータビリティ)でしたが、他社同士の場合は番号をそのまま引き継げないことも多く、できたとしても「アナログ戻し」と言われる複雑な手続きを自分自身で行わなければ行けなかったりと、自由な乗り換えにはいくつもの障害がありました。
なぜ固定電話の乗り換えが難しかったの?
歴史的経緯
昔は電話と言えば、NTT東日本/西日本のアナログ電話しかありませんでした。
しかし、NTT独占状態を解消するために始まった1985年の通信自由化以降、KDDIやソフトバンク(いわゆるコラボレーション光)、ケーブルテレビ会社など、いろいろな企業が固定電話サービスに参入して、電話回線市場で競争をするようになりました。
ところが、NTT東西以外の会社が独自の番号や仕組みを使うようになった結果、「NTT東西以外で発行された電話番号は、NTT東西とは別物」になり、自由に乗り換えるのが難しくなってしまったんです。
技術的経緯
NTT東西が管理する「アナログ回線」を使った固定電話は、もともと番号ポータビリティの仕組みが整っていました。
しかし、KDDIやソフトバンクなどの「IP電話」や、最近は「モバイル回線を使った固定電話」など、通信技術が多様化するにつれて、事業者ごとに通信システムや番号の管理システムがバラバラになりました。
総務省などが中心となって、本格的には2017年頃から長らく双方向番号ポータビリティの実現に向けた調整をしてきましたが、新しい方式に切り替えるための設備の入れ替えや技術的な調整、事業者間の連携が大変だったため、全国で一斉にスタートできるタイミングが2025年までずれ込む形となりました。
コラム:0AB-J番号ってなに?
「0AB-J番号」というのは、たとえば「03-xxxx-xxxx」や「06-xxxx-xxxx」のように、市外局番(0AB)+ 市内局番 + 加入者番号の形になっている、いわゆる“普通の”固定電話番号のことです。
本来はNTTが提供していた電話番号ですが、通信自由化の流れでKDDIやソフトバンクなど他社も「0AB-J番号」を発行できるようになりました。
ただし、厳密にはNTTの番号体系とは異なる管理がされる場合もあり、これが乗り換え時の混乱の原因のひとつになっていました。
※正確には総務省が「電気通信番号計画」というルールに基づいて、各通信事業者に「電話番号帯」を割り振っており、その範囲で各社が番号を発行しています。
総務省発表の電気通信番号指定状況という資料を見ると、例えば「03-3200-XXXX」という番号帯はNTT東日本のアナログ電話(またはフレッツ光のひかり電話)、「03-4226-XXXX」という番号帯はKDDIのひかり電話で、「03-4292-XXXX」は楽天光が使っているひかり電話、等ということがわかります。
通信の自由化を掲げ、このように色んな会社に様々な番号帯を複雑に割り当てていった結果、全体として収拾がつかなくなってしまったのがいままでの状況というわけです。
双方向番号ポータビリティが解決策として登場
こうした長年のややこしい問題を解消すべく、2025年1月14日から始まったのが「双方向番号ポータビリティ」。
携帯電話のMNPのように、今使っている固定電話番号をそのまま別の光回線や固定電話サービスに引き継げるようになったのがポイントです。
これによって、3つのメリットがあります。
- 番号を変えずに、自由に光回線を選べる
料金や通信速度、サービス内容など、自分のライフスタイルや会社の経費に合わせて、よりお得なプランやもっと速い回線に乗り換えやすくなります。 - 乗り換えの手間や不安が大幅に減る
番号が変わると、銀行や役所、友人・知人へ伝えるだけでも大変。名刺やホームページなどの印刷物も作り直しに…という心配が要りません。 - 事業者間の競争が進んで、今後もっと安くなる可能性も
自由に乗り換えられるようになると、通信会社も顧客を獲得するために「もっと安く」「もっと速く」と競争しやすくなります。利用者にとっては、うれしい環境ですよね。
注意
引っ越しで市外局番自体が変わってしまうケースなどは、これまでどおり番号ポータビリティが使えない場合があります。
事業者ごとの技術的な制限がある場合もあるので、事前にサポート窓口や公式サイトで確認してみましょう。
なぜこれが固定電話や光回線見直しのチャンスなの?
「電話番号が変わるのがイヤで、ずっと同じ光回線のままにしていた」という方が、番号そのままで他社のプランに移れるようになったのは大きな進歩です。
たとえば、今より安いプランや、もっと高速なインターネットが実現できるかもしれません。
ケーブルテレビ系の光回線を使っていたBさんのケース
- Bさんは5年前に新築を建てたとき、ハウスメーカーからの紹介で地元のケーブルテレビ会社の光回線と固定電話を契約
- ほぼスマホで通話しているものの、銀行や保険、家族への連絡用に固定電話番号も使っていた
- 最近になって家族に「ネット速度が遅い」と言われることが増えたり、自身でも「もっと安くて早い会社があるのでは?」と思い始め、他社への乗り換えを検討
- しかし、ケーブルテレビ会社独自の0AB-J番号を発行されていたため、乗り換え時に「番号が変わってしまいます」と言われて、面倒になり断念していた
⇒2025年からは「双方向番号ポータビリティ」で、番号を維持しつつ別の光回線に切り替えられるように。
これで、キャンペーンを活用したり速度の速い光回線に移ったりするハードルがぐっと下がりました。
まとめ
「双方向番号ポータビリティ」のはじまりで、固定電話の番号をキープしたまま光回線を切り替えられる時代がついにやってきました。
今の回線が高い、あるいは速度が遅くてストレス…という方は、これを機に見直しのチャンスです。
20年以上、現場を中心に光回線の乗り換えをサポートしてきた私達としても、見直しを後押しするために、これからも様々な情報を発信していきます。
まずは無料でできる「おうちのベストネット診断」から、ご自分に合った会社の情報を探してみてください。
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まずは公式サイトなどで料金シミュレーションをしてみて、今の回線とどれくらい差があるかを比較してみるとよいでしょう。案外、大きな差額が生まれるかもしれません。
「固定電話が変わるとめんどう…」と躊躇していた方も、2025年からは番号そのままでいろんな光回線が選べるようになったので、ぜひ一度、見直してみてくださいね!